ヘルメットを脱いだ後の髪型が悲惨すぎる

期待と裏腹の残酷な現実
バイクを降りてヘルメットを脱ぐ瞬間は、本来であれば風を感じて開放感に浸る心地よいひとときのはずです。
映画やドラマのワンシーンのように、さっそうとバイクを停めてクールにヘルメットを脱ぐ姿を思い描きますが、現実はそれほど甘くありません。
多くのライダーにとって、その時間は鏡を見るのが恐ろしくなるような残酷な現実を突きつけられる瞬間でもあります。
高機能なヘルメットであればあるほど、安全性のために内装パッドが頭部を強く圧迫しており、長時間走行した後には髪の毛が無残にも押しつぶされています。
特に湿度と気温が高い夏場のツーリングでは、頭皮から出る汗も相まって事態はさらに深刻です。
前髪がおでこにピタリと張り付いて海苔のようになっていたり、つむじ周辺だけがペタンコになってサイドが爆発していたりと、およそ人前には出られないような悲惨なヘアスタイルが完成してしまっているのです。
必死の抵抗と広がる無力感
休憩所のトイレに駆け込み、鏡に映る自分の姿を見た瞬間、なんとかリカバリーしようと必死の抵抗を試みます。
水で少し濡らして手ぐしで髪を根元からかき上げてみたり、携帯用のワックスを取り出してつけ直してみたりとあらゆる手段を講じます。
しかし、一度ヘルメットの重圧と熱によって強力に形状記憶された髪は、そう簡単には元のふんわりとした形には戻ってくれません。
むしろ、水気を含んだことで変な方向にハネてしまったり、ワックスと汗が混ざってさらにベタついた質感になってしまったりと、悪あがきが裏目に出ることもしばしばです。
おしゃれなカフェに入りたくても、この頭のままでは恥ずかしくて入れないという葛藤が生まれます。
ふんわりとしたヘアスタイルを維持したままバイクに乗るということは、重力と圧力という物理法則に真っ向から逆らうようなものであり、ライダーにとっては永遠に解決できない困難なミッションなのです。
諦めという名の穏やかな悟り
何度もこの悲劇的なヘアスタイルの崩壊を繰り返したライダーたちが、数々の失敗を経て最終的にたどり着く答えは、隠すというシンプルな選択肢です。
ツーリング先ではキャップやニット帽を被ることを前提とし、出発前の段階から髪型をセットすること自体をきっぱりと諦めるようになります。
ヘルメットを脱いですぐに帽子を被ってしまえば、髪型の崩れを気にする必要もありませんし、周囲の視線に怯えながらトイレで格闘する時間も節約できます。
おしゃれなライダーがサドルバッグに必ず帽子を忍ばせているのは、単なるファッションへのこだわりであると同時に、ヘルメットによるヘアスタイルの崩壊から自尊心を守るための、長年の経験から導き出された処世術であり、一種の悟りの境地なのかもしれません。
